『いつか』プレイベント・レポート

2019/03/28いつかblog

『いつか』プレイベント・レポート

3月22日(金)19時30分、東京都内某所。抽選に当選したラッキーな50人(ほぼ98%女性!)で埋め尽くされたスペースは、イベント開始前から熱気があふれていました。

「いつか~one fine day」は新作ミュージカルであるがゆえに、ストーリーの詳細も、曲も、明かされるのはこの日が本邦初。8人の出演者と脚本・作詞・演出の板垣恭一、作曲・音楽監督の桑原まこが登場すると、大きな拍手が送られました。

男性は襟付きのシャツとジャケット、女性陣がワンピースなどでおめかしする中、一人赤いトレーナーで登壇した藤岡正明。
「ぶっちゃけて言っていいですか?みんなよそ行きですけど、僕だけ普段着で。今日は普段着のイベントにしましょう(笑)」というと、会場はぐっと和やかな雰囲気になりました。

今回の共演がほぼ初めて同士のキャストたち。お互いの印象を問われると、藤岡は「タカ鹿さんがあまり鹿じゃないので新鮮でした」と不思議発言。小林タカ鹿は「内海君の明るさやおバカ感が突き抜けた感じで、カワイイ」。内海啓貴は、「十代の頃、藤岡さんが歌っていた歌が課題曲で、藤岡さんの動画を100回ぐらい見てました。だから初めて会ったときはミーハー気分でうれしかったです。稽古場では耳をかじられて……」と意味深な言葉で笑わせ、和気あいあいとした稽古現場をアピールしました。

また、佃井皆美が親友役の皆本麻帆を「一度共演してみたいと思ってました。すごいかわいいから」と評すと、皆本は「二人で歌うシーンがあるんです。目を合わせて歌った最初の日に、皆美さんの目から涙があふれてきて……。いい作品になると思いました」と言いながら、すでに泣きそうな雰囲気に。そんな仲間について和田清香は、「基本的にすっごく良い人たちです。なかなかこんなにオープンになれる安全な人たちっていない。構えずになんでもできる現場なんです」と語った。

「原作の韓国映画『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』を観た人いますか?」と板垣が会場に問うと、10人以上が手を挙げました。「映画と一番違うのは、群像劇に仕上げていて、それぞれのキャラクターの物語が同時進行していくということ」と、板垣。

続いて、キャストが自分の役と作品への想いについて、次のように語りました。

荒田至法「ゲイでストリートミュージシャンという、周りにはあまりいないキャラクターです。マイノリティーの部分を抱えていて、その傷を誰よりも理解する人間でありたいと思いながらやっています」
内海「平成は終わるけど、平成の若者みたいな感じを作ってます。素直にわからないことはわからないと先輩に言うとか。内海がサラリーマンだったらこんな風かな、っていうのが描かれてます」
小林「僕の役は中間管理職で、板挟みになりながら問題を解決するプレッシャーをガンガン与えていく。僕にもドラマがあるのを台本に描いてもらってうれしかったです」
入来「夫が死んだ妻を心の中で引きずってしまうような、いいパートナーでありたいと思いながらやっています」
藤岡「人生において誰しもが逃げたくなったり、足踏みを続けたり、そういう時ってあると思う。僕が演じるテルは、たぶん自分がイケていないというのを肯定して、弱虫になって逃げている状態。しかし、妻の死やエミとの出会いで生き抜いていくんです。人間の弱い部分を出す。劇場で共感してもらえると思います」
皆本「目が不自由で、植物状態になってしまった女性です。でも、テルに出会って、いろんなことができるようになる。それがすごく幸せだな、って」
佃井「妹のような存在の人が交通事故に遭う役で、大切に思っている人に何をしてあげられるのだろうって考えながらやっています。一つの答えが届けれたらという思いで稽古に臨んでいます」
和田「シチュエーションは激しめだけど、実際に通常生きている半径5メートル以内の話をしていると思いながらやっています。みなさんもいろんなバックボーンがあるなかで生きているので、きっと共感ポイントがあると思います」

トークの後は、作品の中から「うつしおみ=現人」と「いつか」を生で初披露しました。ピアノの伴奏が流れると、会場は一気に「いつか」の世界へ。藤岡が静かに歌い始め、8人全員の声が重なる力強いコーラスへ。客席ではすすり泣く人も少なくありませんでした。

「社会派エンターテインメントをやりたいんです。お客さんが食べやすい味を大切にしつつ、そこに社会派の要素を入れたい。映画『グリーンブック』が黒人差別を、『ボヘミアン・ラプソディ』がゲイの話を描くように。差別や貧困は日本にずっとあったはずだけど、高度成長の中でメジャーなエンタメは触れないことになっていた。それが崩れてきたときに差別がむき出しになってきて。シアターが扱わないのはダメなんじゃないかという危機感があるんです。僕たちがやりたいのは、日本の今を舞台にしたミュージカル。現代のような、架空の設定ともいえます」(板垣)

終了後、SNSには、「命とか、重いテーマだけど観劇しながら色々考える時間になるのかもって、オープニングの歌を聞いただけで涙」「社会派エンターテイメント!演出さん演者さんのトークを聞いただけで、この作品は絶対に観なくてはならない!何かあるにちがいない!と感じる。素晴らしい生歌が聴けた」「あぁー早くみたい。歌がとにかく素敵だった。泣く。これはもう全通しますよ」という感想が続々とアップされました。

板垣曰く、「エンタメなので、いろいろな反射をするように、稽古をしています」。
4月11日からの公演に、ご期待ください!

文:桑畑優香

  • いつか〜one fine day 公式サイト https://www.consept-s.com/itsuka/
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